もうすぐ定年ですが、住宅ローンの返済が厳しくなりました。どうすれば良いでしょうか?

ご相談への回答の要旨

まずは現在の収入と支出を書き出し、「何にいくら使っているか?  かかっているか?」把握しましょう。その上で無駄な支出を抑える・なくす努力をしてください。それでもやはり、返済が厳しいと判断される場合は、住宅ローンを組んだ金融機関へ相談へ行き、借入の条件を変更するなどの相談をしてください。また、当社のような住宅ローン返済問題解決の専門家へ相談するのも一手です。

定年前世代の方々の間で、今起きていること

右肩上がりで拡大を続けた高度経済成長期がバブル景気とともに終わりを迎えたのが、ちょうど昭和の終わり頃。時代が平成になって以降は不況であることが当たり前となり、それとともに「終身雇用」「年功序列」「定期昇給」といった日本の社会システムはみるみるうちに崩れていきました。今、いわゆる「老後破産」が増加しつつあります。

収入が減少して経済的に困窮してしまっている方々、あるいは、長寿化によって延びる老後に経済的な不安を強く覚えられた方々の中には、次に示すような行動を取られる定年前世代の方々が増加しています。

退職金の前借り
どんな会社ででもできることではありませんし、退職金と言えば老後の生活を送るための資産の一部ですから、それを尚早に使ってしまうのは危険と言えます。
定年延長や再就職
「まだまだ元気だから、もっと働きたい! もっと社会とつながっていたい!」とポジティブな方々がいらっしゃる一方で、現在の貯蓄と老後に不安をお感じになり、給与は下がっても勤めを続けられたり、新たな就職先をお探しになり、とにかく収入を得ようとされる方も増えています。
資産の売却
やはり、手元に現金があるほうが安心できるのだろうと推測できます。ただ、期待していたほどの価値にならないことも多いです。売却対象の資産が不動産の場合は、売却して現金が手元へ入るまでに3ヶ月はかかりますので、お急ぎの場合は注意が必要です。
保険の解約
高額な契約で毎月の支払いが辛い方も多いようです。老後のために...万が一のときのために...の保険ですが、背に腹は抱えられないのかもしれませんね。
妻が働きに出る
今、定年前である世代の方々はおそらくまだ、奥さまは結婚時に寿退社をされて専業主婦に、これまでは旦那さまの収入のみで家計をやりくりできた世代でしょう。しかし、収入の減少を補うために、奥さまがパート・アルバイトなどへ出られるご家庭が増加しています。
副業をする
「終身雇用」「年功序列」「定期昇給」といった日本の社会システムが崩壊した現代において、老後に備えて資産を形成するためには有効な方法かもしれません。しかし、(斜め上目線と受け取られるかもしれませんが)誰もが副業で稼げるだけの技術や能力を持っているわけではありませんから、例えば「会社を辞めて、これ(副業)1本でやっていこう」のような勇み足には十分注意してください。
身内から借金
親兄弟に工面してもらう場合もあるようですが、お金ほど人間関係を壊すものは他にありません。まして、家族・親類でそのようなことになってしまっては、取り返しのつかないことになりますから、なるべくなら避けて欲しい行動です。

いずれの行動でも、その場は凌げるかもしれませんが、あくまでも回避策でしかなく改善策や解決策ではありません。経済的な困窮、問題解決を先延ばしするだけで、いわゆる老後を不自由なく暮らせる保証を得られるわけではありません。

生活レベルが下がるだけでなく、場合によっては家族関係の悪化、それによる精神的な苦痛、さらには、身体に影響が出ることもあるでしょう。

定年と住宅ローン返済の関係性

ひと昔前でしたら、結婚したら住宅ローンを組んで家を建て、定年頃には完済し、退職金で悠々自適な老後生活を...ができていました。定年と住宅ローンの完済は1セットで、誰もがそれを迎えられることを当たり前のように考えていたハズです。

しかし昨今、上述したような行動を取られる方々が増えてきているのは、定年を間近に控えながらも収入の減少で経済的な困窮に陥ってしまうのと、住宅ローンの完済を間近に控えながらその支払いが滞ってしまうのとが同時に訪れてしまったからでしょう。

特に住宅ローンの返済計画に目を向けると、晩婚化や低賃金化など、理由は様々考えられますが30〜40代の若い世代では、完済を70〜80歳頃に設定されているご夫婦も多いようです。定年を超えてもなお支払いが続けば、現役時代と同じようには支払っていけなくなる可能性が高いのではないでしょうか。

実際、住宅ローン返済問題の解決を専門とする当社へは、定年を間近にして住宅ローンの返済に行き詰まってしまったことの相談にいらっしゃる方が、増加傾向にあります。 住宅の購入は多くの方にとって人生において一番高価な買い物です。そのローン返済が滞ってしまうということは、人生における一大事。絶対に避けていただきたいことです。

では、具体的にどのような対策や行動をとるべきでしょうか?

定年前に住宅ローン返済が厳しくなったらとるべき行動

まず、支出を把握する

ご自身の給与がいくらか?をご存知ない方はいらっしゃらないと思います。一方で毎月、 何にいくらかかっているか? 支出の内容を把握されていない方は案外多いものです。実際、当社へご相談にいらっしゃる方々の多くが、支出の内訳を答えられません。「困っている」とおっしゃる方々は概して、「何にいくら使っているか?  かかっているか?」を把握されていないのです。ですから、まずは現在の毎月の収入と支出を書き出してみましょう。

無駄な支出をなくす

よくあるのが、必要以上の車を、しかも新車で購入され、そのマイカーローンが大きな支出となっている場合や、携帯電話の利用料金が高額になっている場合です。そうした無駄を1つ1つ洗い出し、それらをなくしましょう。

また、収入があるにも関わらず、支払いが厳しいという方もいらっしゃいます。これも明らかに無駄が多いからです。支出の中で何が原因なのか? 支出を抑えたりなくしたりできるものがないか? しっかり考えましょう。

金融機関や住宅ローン返済問題解決の専門家へ相談する

収入を増やせれば良いですが、簡単なことではありません。無駄な支出を抑える・なくす努力をしても、やはり返済が厳しいと判断される場合は、滞納してしまう前に住宅ローンを組んだ金融機関へ相談へ行きましょう。滞納してしまってから相談するよりも、圧倒的に対応が良いからです。そして、金融機関へ住宅ローンの借入の条件を変更(返済期間の延長・金利の減免など)するなどの相談をしてください。

また、当社のような住宅ローン返済問題解決の専門家へ相談するのも一手です。当然、金融機関の提案は「貸し付けしている融資をできるだけ回収したい」という金融機関の都合ありきですが、当社のような専門家であればご相談者さまの状況やご希望に寄り添ったさまざまなご提案を行えます。金融機関への交渉もご相談者さまに代わって行うこともできますし、何より誰かに気持ちを吐き出せたことで精神的にラクになれるでしょう。

いずれにしてもまずは「相談という行動が大切」です。

注意、やってはならないこと

誰にも相談しない

「お金を払えない」というのは、なかなか言い出しづらいものですよね。ちょっとした擦り傷のように放っておけば自然治癒するものならば良いですが、自然と解決するお金の問題、誰かが知らぬ間に解決してくれるお金の問題は、残念ながら存在しません。 ご夫婦の間でもなかなか言い出しづらい場合もあるでしょうが、ご自身だけで解決できる問題ではありませんから、勇気を出して相談してください。

何も行動しない

一方で、例えば当社などへ相談にいらしてさまざまアドバイスを差し上げたにも関わらず、一切行動に移されない方がいらっしゃいます。放置された大きな傷は、ひどくなるだけ。どうにもこうにもならなくってから、観念され改めて相談にいらっしゃる方も...。しかし、 当然以前よりも悪い状況になっており、その頃には打てる手も限りなく少なくなっています。中には、その後連絡が取れなくなってしまう方もいらっしゃいます。

繰り返しになりますが、自然と解決するお金の問題、誰かが知らぬ間に解決してくれるお金の問題は、残念ながらありません。放置せず、必ず誰かに相談し、行動してください。

なお、住宅ローンの返済が困難になった場合の金融機関による救済措置、また、その他やってはならないことについては、「住宅ローンの返済が難しくなってきたのですが、どうすれば良いでしょうか?https://okayama-ninbai.com/about-a-short-sale/faq/faq-74.html)」でさらに詳しくご紹介しております。こちらも参考にしてみてください。