同居を諦めて妻の実家で暮らしはじめたのち、両親が住宅ローンを2つも抱えて滞納。任意売却の成功により、親子の絆を取り戻すキッカケに

ご相談者は大阪府在住の松野さん(仮名)。30代の男性です。

松野さんは倉敷市玉島のご出身。その当時、まだ独身でいらした松野さんご自身「まったく気が乗らなかった」とのことですが、ご両親が希望されたことから、松野さんが主債務者、お父さまが連帯債務者の住宅ローンを組んでマイホームを購入。ご両親の友人の娘さんが経営しているという地元の住宅会社にて建築されました。

その後、松野さんはご結婚。ご両親と奥さまの4人で同居することに。しかし、程なくして問題が生じます。ご両親から「(家で)アレをするな! コレをするな!」とさまざま文句を言われはじめたのです。松野さんにしてみれば、当時独身であった中で言わば親孝行のつもりで建てたマイホームであり、同居。「自分が建てた家なのに、ナゼそんなことを言われなければならないのか?」と。特に奥さまへの言動には我慢ならなかったそうです。

いわゆる、嫁舅問題・嫁姑問題です。松野さんは不和を理由に同居を諦め、大阪にある奥さまのご実家へ転居。

その後、住宅ローンはお父さまが返済することになりましたが、ご両親だけで住むには大き過ぎる家。「当社が責任を持って売却しますから」との言葉を信じ、マイホームの住み替え・買い替えを住宅会社から提案されるがまま、松野さんのお父さまはその住宅会社から建売住宅を購入、引越しされました。ところが、元の家が売れる様子は一向になく、お父さまは2つの住宅ローン返済に追われることになってしまったのです。

住宅ローン返済が滞ってしまうまでに、さほど時間はかかりませんでした。住んでいる新しい家の住宅ローンを支払うのが精一杯で、松野さんが建てた元の家の住宅ローンを滞納。連帯債務者になっていた松野さんのもとへ債権者から連絡が入ります。住み替え、住宅ローン滞納など事態を初めて知って驚いた松野さん。久しぶりにご両親と連絡をとったものの話はまったく噛み合わず、「話にならない」とのことから大阪の任意売却専門会社へ相談され、そして地元倉敷市の当社をご紹介いただいた、という次第です。

当社の山部が間へ入り、松野さん、そして、お父さまからお話を伺ったものの、お互いに言い分があり、譲る気持ちは一切ない様子。債権者からは任意売却で進めて欲しい旨の要請があったため、不動産売却活動の準備を開始しました。住宅ローンの残債務に加え、遅延損害金も含めると売却できても約100万円の債務が残る計算でしたが、松野さんとお父さまにはご納得いただいた上で販売活動を開始。スグに近辺に住む30代のご夫婦から連絡があり、販売価格3,600万円で任意売却は無事成功しました。債権者との協議で、残る債務は毎月数万円ずつ返済することで折り合いがつきました。

決済時、再会した松野さんとご両親。冒頭、まったく会話がなくぎこちない空気が流れていましたが、今後の返済のことも含めて山部が話を進行しているうち、少しずつ親子で会話を交わされるように。その様子には、「やっぱり親子なのだな」と感じざるを得ませんでした。

その後、「やっと今後のことを考えることができるようになりました。ありがとうございます。妻の親もとても心配していて、できることは協力していくからと言ってくれているので、心配をかけさせないように頑張っていきたい。」と松野さん。昭和ど真ん中のお父さまとの軋轢が今回の住宅ローントラブルの原因となったわけですが、いつしか霧散し、親子の絆を取り戻せることを願っています。