順風満帆のハズが、息子の引き篭もりで破綻してしまった老後の計画。50代で組んだ25年 / 6,500万円の住宅ローン滞納を娘夫婦からの助け舟「親子間売買」で解決

ご相談者は岡山県倉敷市在住の後藤さん(仮名)。70代の男性です。

後藤さんは50代に入ってから25年/ 6,500万円の住宅ローンを組み、実家を建て直しされました。24年前のことです。一般的な感覚では少々驚いてしまいますが、後藤さんは地場の地主であり、大手ゼネコンへお勤めだったこともあり、毎月26万円の住宅ローン返済でも負担ではなかったのです。実際、年金収入も月26万円ほどあり、完済できるメドは十分にありました。

ところが、時が経ち、ある問題が生じます。10年ほど前に、40代の息子さんが引き篭もりになってしまったのです。その経緯や事情はどうあれ、親として息子の面倒をみなければならないと考えた後藤さん。そのために老後の計画にはなかった想定外の出費が重なるようになり、住宅ローンの返済計画へも暗い影を落とすコトに。

「本来ならば、もう完済できていたハズが…」

住宅ローンの返済ができなくなりそうになり、悩んでいたところ、書店で偶然、弊社山部の著書『岡山でローン未払いでマイホームが競売にかけられる前に絶対に知っておくべき任意売却というすごい選択』が目に留まったことがキッカケで、ご相談にいらっしゃいました。

当然、「何とか住み続けたい」とのご希望。金融機関との間に入り、住宅ローン返済のリスケジュールなどを視野に、定期的な話し合いを続けること一年…それでもなかなかまとまらず、協議が不調を続けた末に、金融機関からは「そろそろ売却の話を進めていただきたい」との回答が。

実は当該不動産、築25年ほど経っていながらも、一般の方へ向けて売却すれば安く見積もっても3,000万円以上の売値がつく物件であり、残債務863万円はまったく難なく完済できる状況(アンダーローン)ではあったのです。

しかし、先代より受け継いだ土地、実家を手放したくない、手放せないのも本音。ただ、無い袖は振れないことも事実。それゆえ、一般の不動産売却も視野に入れながら、リバースモーゲージの可能性も模索したのですが…結果、売却価格4,000万円で任意売却の販売活動をスタートせざるをえないことに。

そして、内覧いただくこと数回、年末に差し掛かった頃に…思わぬ助け舟が届けられます。

後藤さんの義理の息子さん、つまり、娘さんの旦那さんが、協力を申し出てくださったのです。娘さんは「あまり関わりたくなくない」と静観されていたようですが、やはり、お父さまが困っている様子を見るにみかねて、ご主人へ相談なさったようです。娘さんご夫婦が「ご実家へ転居、同居されたい」とのことで、協力を申し出ていただけたのです。

状況は一転、好転しました。早速、義理の息子さんが数件の住宅ローンの申し込みをなさったところ、1社から条件付きながら承認を得られ、売却価格 1,290万円の親子間売買に成功。後藤さんにご相談をいただいてから、2年の歳月が過ぎた春の頃でした。

任意売却の成立をご報告したとき、そして、決済のとき、後藤さんは何度も頭をさげてお礼をおっしゃってくださいました。後藤さんの「住み続けたい」というご希望を叶えることができて本当に良かったなと、強く印象に残った瞬間です。

事務所へ戻り一息ついた頃、ふと私の頭をよぎったのは、「これから、こうした老後破綻が増えてくるかもしれないな…」ということでした。願わくば、毎日明るいニュースを耳にしたいものです。