ご主人の自死、下りない団体信用生命保険、苦しい住宅ローン返済。任意売却の成立と県外への転居により、人生再スタートの第一歩
ご相談者は岡山県津山市在住の松野さん(仮名)。40代の女性です。
美容師として働く松野さんは、ご主人とお子さん(ご相談当時、小6)の3人家族。ご主人名義で購入された中古住宅で暮らしはじめて2ヶ月が経った頃、ごく普通の生活を送っていた松野さんの人生が一変してしまうできごとが突然起こりました。ご主人の自死(自殺)です。
ある日の朝、仕事へ出かける前に夫婦喧嘩をしてしまった松野さん夫妻。その当日...ご主人は大阪の駅のトイレにて自死を遂げてしまったのです。突然のことに頭の中が真っ白になり、心に深い傷を負ってしまった松野さんでしたが、その傷を癒す間もなく、ただただ現実が松野さんを襲ってきました。
ご主人名義の住宅ローンは借入をして間もなかったために、団体信用生命保険(団信)が下りなかったのです。
住宅ローンの残債務は1,924万円。松野さんは手元の貯蓄を切り崩しながら、毎月7万円の住宅ローンを返済していくことにされましたが、返済と生活は厳しくなる一方。「このままでは生活が成り立たない」と思い、インターネットで検索をされた当社ホームページをご覧になって、住宅ローンを滞納してしまう前に相談にいらっしゃいました。
お話を伺ったところ、「このまま、ここへ住んでいてもいろいろと思い出してしまうので、思い切っていっそ県外へ引っ越したい」とのお考え、ご希望。その後、松野さんはお子さんとともに愛媛県へ転居なさいました。
並行して、債務者である松野さん、債権者である中国銀行、そして当社の三者で任意売却に向けての話し合いの場を何度か設けたのですが、中国銀行は「完済」を求める姿勢が強く、難しい状況に。しかし、粘り強く話し合いを続けた結果、中国銀行から債権譲渡されたMUフロンティアからは「任意売却に応じる」との回答を得られ、なんとか任意売却に向けての販売活動をスタートさせることができたのです。
販売活動を始めて1ヶ月後、物件の近所にお住まいの方から「実家近くで息子夫婦が中古住宅を探しているので、見学させて欲しい」との連絡が入り、見学、そして、購入と、任意売却は無事に成立しました。
松野さんの人生は大きく変わってしまいましたが、ホッと安堵の表情を浮かべるとともに「本来は山部さんのお仕事ではないことまで、嫌な顔せず快く引き受けていただいて大変感謝しています。これからの人生、子どもと一緒に頑張ります!」と仰ってくださいました。
ご主人が命を絶ってから約2年半。晴天の霹靂とは、正にこのようなことを言うのでしょうけれども、松野さんはご主人の自死によって生じた住宅ローン返済のトラブルを、任意売却によって解決することができたのでした。