トラブルで夫の会社の資金繰りが悪化、廃業。夫の実家の隣に建てた共有名義のマイホームに住む妻の精神的負担を、任意売却の成功で解消

ご相談者は総社市在住の浅野さん(仮名)。40代の女性です。

ご主人の実家の隣の土地に、ご主人と共有名義(連帯債務)でマイホームを新築された浅野さん。ご主人は会社経営をされていて、浅野さんご夫婦と息子さん(ご相談当時、高校1年生)の3人で穏やかに暮らしてらっしゃったところ、社員にお金を持ち逃げされてしまう事件が起き、会社の資金繰りが悪化。結果、廃業を余儀なくされ、ご相談当時は長距離のトラック運転手として働いてらっしゃいました。

しかし、金銭的に苦しい状況は続き、住宅ローン返済や生活費の捻出が困難となり、浅野さんご夫婦は徐々に不仲に。貯金・手持ちの現金も底をつきはじめ、一言も話をしないような関係になったことで、ご主人は隣にある実家へお戻りになってしまったそうです。

任意売却について、当社の取材記事を新聞でご覧いただき、ご相談にいらっしゃいました。ただ、先述の通り、浅野さんご夫婦は一言も話ができないような関係でしたので、面談も浅野さん(奥さま)とご主人とで個別に対応。浅野さん(奥さま)は、「お金のことで主人と難しい関係になり、息子にも迷惑を掛けてしまった。その上、隣にはご主人の母親(姑)が住んでいる状況でもあり、早く家を整理して出て行きたい。」と、涙ながらにお話くださいました。

任意売却のご依頼をいただき、当社にて販売活動を開始。半年後に、同じ総社市の方にご購入いただけて、1,300万円で任意売却に成功。1,500万円あった残債務を大幅に圧縮できました。残った債務に関しては、ご主人が少しずつ返済されることに。

浅野さん(奥さま)と息子さんは家を出て、アパート暮らしを始められました。金銭的にもですが、それよりも、不仲となったご主人とご主人の母親が隣に住んでいる…という、精神的な負担から解放されて、穏やかに生活できるようになったようです。

さて、ご主人(もしくは、奥さま)の実家の敷地内、あるいは、隣の土地等にマイホームを建てられる場合、進入路や給排水の設備などを共用されることは多いです。その方が合理的ですし、他人が住むことなど想定していない(将来、離婚することを考えて新築されるご夫婦はまずいらっしゃらない)からです。

しかし、今回の事例のような場合には、それが大きな問題となってしまいます。なぜなら、まったくの他人の敷地等に敷居もなく建てられた家を、わざわざ買って住みたいと思う人などいないからです。つまり、売りたくても売れない、安くしなければ売れないといったことになります。安く売ることになれば、住宅ローンの完済も難しくなり、売却しても残る債務の額は多くなってしまう、悪循環に陥ります。

今回の事例では幸運にも購入いただけましたが、例に漏れず、敷地への進入路が1つしかなく、ご主人の実家の敷地内を通る必要があったため、敷地内通過の承諾書を取り交わされています。

不動産売却の専門家としてアドバイス差し上げるとすれば、まず、親族の家の敷地内や隣などにマイホームを建てる際は、慎重にお考えいただくこと。そして、共有名義や連帯債務はできるだけ避けていただくこと、となるでしょうか。先にも述べました通り、将来、離婚することを考えて新築されるご夫婦はまずいらっしゃらないでしょうけども、1つ、アドバイスとして記憶にとどめておいていただくと良いかもしれません。